ブリーフ エタニティ
春の訪れ
意味のわからない告白をされて、付き合った瞬間遠距離恋愛が始まってから一週間。
一応連絡は毎日取り合っているけど、正直まだ実感がわかない。
次にいつ会えるのか、そもそも相手が何を考えてるのかもよくわからないけど、恋人という存在がいるという事実は私の精神状態を多少は落ち着けてくれているようだ。
デートができるわけもない週末の過ごし方がわからないので、私はかつての行きつけのバーにまた足を運んでいた。
先週とはうってかわってだいぶ春めいた夜風に足取りが少し軽くなる。
ドアを開けるとカランという音とともに柔らかなサックスのメロディが聞こえてきた。
視線をあげるとマスターの少し驚いた顔。カウンターには他に客はいなかった。
「一週間ぶり。色々話聞きたかったんだよね」
悪戯っ子の笑顔をこちらに向けて彼がそういった。
「先日はお騒がせしました。ここ、座ってもいい?」
「どうぞどうぞ」
先日の一連の流れを思い出して少し恥ずかしい気持ちになりながら、マスターの前の席に腰掛けた。