ブリーフ エタニティ
「急に電話してごめん、起きててよかった」
寝る前に電話してくれたんだろうか。少し声がかすれていてセクシーだった。
「メールしようと思ってたタイミングだったからビックリした、けど連絡ありがとう。
お酒が入って声が聞きたいとこだった」
「お、珍しく素直。ちょうどいいタイミングでよかった。この前会ったときから一週間経つけど元気かなと思って」
「こっちは変わらず元気だよ。恵司は?まだバタついてる?」
「そうだねー、引っ越し早々仕事が始まったからまだ全然部屋の片付けとか済んでなくて。辛うじて寝る場所とテレビがあるくらい」
片付けが苦手な彼のことを思ったら部屋の様子が容易に想像できて笑ってしまった。
「じゃあ5月までそんな状態だったら、片付け手伝ってあげるね」
「あ、手紙読んでくれた?」
「びっくりしたんだけど。やり方キザすぎ。
だけど嬉しかった。ゴールデンウィークはまだ予定入ってなかったから、遊びに行かせてもらうね」
それを聞いて彼から安堵のため息が聞こえた。
「見切り発車でチケット取っておいてよかった〜。使ってもらえるなんて思ってなかったから、未だに信じられないけど」
「強引すぎて笑っちゃった。よくこんな手を思いつけるよね。
でもまあ実際恵司と同じように私も改めて色々直接話したいって思ってた。連休はゆっくりそっちで過ごそうかな」
「ゆっくりできそうなら長くいてよ。観光案内できるくらいには詳しくなっておくから」
「わかった、ありがと。楽しみにしてるね」
おやすみの挨拶をして電話を切ると、先ほどまでの寂しさはどこかへ消えていた。