ブリーフ エタニティ
空港の自動ドアを抜けるとモワッとした空気に包まれる。
日本より気温も湿度も少し高いとは聞いていたけど思った以上だ。
カーディガンを脱ぎ、Tシャツ一枚になってもまだ少し暑いくらい。
「あれ、ペアルックにしてきたの?」
そう言われて私も白いTシャツを着てきたことに気づいて思わず笑った。
「エスパーじゃないから。偶然だけどちょっと恥ずかしいな」
「いいじゃん。なんだか嬉しい」
そう言って彼もにやにやと子供のような笑顔になる。
恵司と旅行していることがすごく新鮮。
大学時代も色んなところに行ったけど、当たり前になっちゃってたんだな。
空港でタクシーを拾い、荷物を置きに恵司の家に一度立ち寄る。
「ごめんまだ片付け切れてないんだけど、どうぞ」
「おじゃまします」
観光地から少し離れたところにある、小さな部屋のアパート。物は少なく、シンプルなテーブルの上に煩雑に置かれた仕事の資料や趣味の雑誌がいかにも男性の部屋という感じだ。