ブリーフ エタニティ
部屋をぐるっと見回すと、懐かしいものに目を引かれた。
「これ…」
厳選されたCDが並んでるコーナーに、先日返してもらったものと全く同じCDを見つけた。
「あ、見つけるの早いな!
若菜のこと思い出したくてよく聴いてるんだよね。
なんなら借りていながら自分で買って日本にいる時も聴いてた。
未練がましくて気持ち悪いでしょ」
そう言って恥ずかしそうに彼がCDを手に取った。
「この前も話したけど、この人の曲、すごく若菜のイメージにぴったりで。それだから好きなんだよね」
自分が思っていた以上に彼は私のことを好きでいてくれたんだなと思ったら、胸の奥が熱くなった。
前にあのバーのマスターが、恵司は私のことになると子供と言ってた意味がちょっと分かった気がする。
「思ってた以上に恵司が私のこと好きなのがわかって正直びっくりしてる。
全然気持ち悪くないよ。むしろ嬉しい」
「引かれなくてよかった」
露骨に安堵の表情になる彼のことを可愛いと思った。
「私もこの旅行で日本にいても恵司のことを思い出せる物、買って帰ろうかな」
「うちの私物ならなんでも持っていっていいよ」
「何でもは言いすぎ」
二人して笑う時間が歯痒くて心地いい。