ブリーフ エタニティ
缶をテーブルに一度置いて一息ついたところで、やっと気持ちが落ち着いてきた。
それでも今自分が台湾にいて、隣に恵司がいることがとても不思議な気分。
「なんか夢でも見てるのかって感じ。
何で今ここにいて、また恵司と付き合ってるのか、まだよく分からないや」
「そうだよね、俺もだよ。
でも若菜が俺のむちゃくちゃに付き合ってくれたの、すごく嬉しい」
そう言って彼が体を寄せてきた。
「うん、私もこの状況は意味わからないけど嬉しい」
気持ちをより伝えられるように、彼の方に頭を預けた。
「本当はあの日…
ちゃんと話をして告白しようと思ってたんだけどな。
若菜が逃げるから調子が狂ったんだよ。
どうしたらできるだけ長く一緒にいられるかなと思ったら、考えるより先に体が動いちゃってた」
言葉にされると、あの時は私も幼い行動をとったなと少し反省した。
「逃げるつもりはなかったんだけど、恵司が何考えてるのか分からなくて近づかれるのがちょっと怖かったの。
素直に向き合わなかったことは謝る」
「まあそうだよね。
一年半ぶりの再会でいきなり告白されてもって思うだろうなと思ってたから、結果オーライだったのかな」
「することしてから告白するのはやり方としてあんまりよろしくないかとは思うけど」
意地悪く突っ込むと彼が苦い笑いを浮かべた。
「皮肉たっぷりなツッコミするの上手いよね」
「性格悪いんで」
社会人になってからつまらない大人になってしまったような気持ちになっていたけど、恵司の前だとあんまり自分は変わってないのかもしれないなとふと思った。