happiness
「莢。今日はいろいろ考えさせちゃったよね。ごめんね」
莢は顔をあげると、昨日と同じく純は莢に背を向けていた。
声はさっきとは違い、いつも通りに聞こえるが、背を向けていることにより表情が見えない為、なんと言葉を返せばいいのか莢にはわからず黙っているしかない。
「明日は特別な日だから、散歩をしよう。きっと、いちばん大切なことが思い出せるはずだから」
「待っ……」
「じゃあ、また明日」
引き留める莢の声を遮り、昨日と同じ、ひしめきあう木々の向こうへと消えていったのだった。