happiness
少年は、思い出させる。
雪が降っている。
しかし、ぱらぱらとした雪が降っていた昨日とは違い、
大粒の雪がこんこんと降っているが、傘を差したりすることなく、
莢は大好きな場所へと足を運ぶ。
辿り着いたそこには、昨日と、その前と同じく彼が座っていた。
「今日も、雪だね」
莢が来たことを足音や気配で感じとったのであろうか。純は莢のほうを見ず、天を見あげ、そう言った。
莢は何も言わないで、空を見上げている彼を見つめる。
「……じゃあ、行こっか」
立ち上がり、莢のほうを見て微笑む。
その表情がとても切ないものだったから、これから行くところが、あまり楽しくないところなのだと予想させる。
そこで、ふと莢は思う。
純が、幸せそうに微笑んだこと、あったかな。