happiness

 
 街は、人々の活気で満ちていた。


 莢のお気に入りの場所を出発すると、純は莢を街へと連れてきた。
 今日は土曜日のクリスマスである為、人は多く、街はその為の装飾で溢れている。

 人と人の間をずんずん歩いて行く純。目的地を聞かされていない莢はとても気になる。
 もう森をでてずいぶん経った気がする。

「どこに行くの?」

「莢が、記憶を取り戻せる場所かな」

「それ……、どこなの?」

「もうすぐ着くから」

 急に不安な空気が莢を取り巻く。
 純はそれを気遣ってか、心配ないよ、と付け足し、微笑みながら更に歩く。
 その微笑みは、やはりさっきのような、寂しそうな、切ない笑顔。



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