happiness
「莢、落ち着いて聞いて」
その言葉は莢にこそ向けられていたものの、本当は純が自分に言い聞かせているものと莢は思った。
「君が今、こうして眠っているのは、一年前の今日、診断が間違いだと分かる前に、自ら命に終わりを告げたからなんだ」
莢は時が止まったと思った。
ふとベッドの向こうにある窓を見る。雪は、まだ降り続いている。森で純とあったときよりも、更にたくさんの雪が降っている。
どこからともなく、クリスマスソングが耳に入ってくる。
この歌は誰の歌だったろう。
今頃、世間の家族や恋人たちのほとんどはお祝いをしていることだろう。
そういえば、一年前の今日も、こんな日だった。