happiness

「僕は、君の願いを叶えに来たんだ。だけど、ひとりで旅立ったきみは、僕のことを忘れていた」

「ごめ……」

「謝らなくてもいいんだ。だってきみは僕を思い出してくれたから」

 私の言葉を遮り、純は言う。

「僕は、すごく、すごく嬉しい。こんなに嬉しいなんて、思ってなかった」

 私の手を取って、愛おしそうに私の手を自分の手で包み込む。あったかい手に包まれて、私の心もあったかくなるような、そんな錯覚を覚える。
 
 心地いい。


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