happiness


「僕の……僕の願い事は……」


 この町は、クリスマスの深夜0時に鐘がなる。その鐘の音が聞こえた瞬間、私の手はぎゅっと握られ、そして純は、すうっ…と消えた。

 その場所には何もない。

 足跡さえも残っていない。いつの間にか降り出していた雪が、足跡を埋め尽くしていくから。


 ……いや、ある。


 胸の高さまで、握りしめた右手を持ってくる。純が遺していった物。それは、この手の中に。
 静かに手を開いてみる。



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