恋海-私と彼の恋の伝説-
「海!!」
あたしは思わず大きな声で叫んでしまった。
それに気付いたのか海はあたしの方に顔を向け微笑んではすぐに立ち上がり全力で走りぬいたのだ。
だが、棗に追いつくことはなく2位という形で終わってしまったが、あたしにとっての1位は海だなって思ってしまう。
海は、先にゴールしていた棗の肩を借りて足を引きずりながら歩いている姿が見えた。
さして、観客席のところまでやってきて海はあたしに「よっ」と挨拶をした。
「海、大丈夫??」
「大丈夫、大丈夫。」
海が答える前に棗が答えてしまって海は口をへの字に曲げている。
「何で、お前が答えるんだよ。」
「大丈夫そうだから代わりに言ってやった。悪いか??」
棗は少し口角を上げて言っていた。
いつもなら、相手しないのに・・・