恋海-私と彼の恋の伝説-


すると明人さんはあたしから体を離し、あたしの唇をふさいだ。

そして、唇を離すと明人さんはあたしのことを睨みつけた。


「バカ、皐月ちゃんのほうが辛いに決まってんだろ。向こうには誰もいねぇんだから。」


「…あの、明人さん…それより」



すると、明人さんはあたしの口のところに手を押しつけてきた。



「言うな、お願いだから。」


え、でも。


明人さんは顔を真っ赤にしている。



そっか、あたしには明人さんや海、棗がいるもんね。


寂しいなんて言ってられないよね。



「だから、お前は寂しい思いなんてアイツに比べりゃちっぽけなもんだ。」



そうですね、明人さん。



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