~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
湯気だと思っていたのは竜の吐息だった。
そう言えば硫黄臭がする。
竜神様、と呼ばれるその巨大な体躯の持ち主は、ただれた緑の鱗で覆われ二足歩行で
ザシャアア!
(と出てくる)
そして、その額には一本の角が。
マグヌムではない。二人は落胆した。
唯一の希望がさらさらと砕けて流れて堕ちてゆく。
「きくがよい。竜には近づくな。毒があるからな。次第に自分まで怪物になってしまうのだ」
「ああ、それはよくわかっている」
王子の張りのある声に、竜神は耳を傾けた。
「そう言えば、その姿、すでにのろいの血を浴びたな」