~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
王子は断った。
「そもそも、この呪いは彼を傷つけ、地獄まで貶めた罪の証なのだ」
そして王子は額の髪をさらりと流し、蒼い印を見せた。
「おおなんと、それは勇者の証だな。どうだ、私と魔界を作らぬか?」
「魔界? 私のような化け物が多くいるのか。この上ない誘惑を感じるが、断る」
「そも、何のためをもって、ここへ参った。竜の魂を手に入れれば、超人にさえ、なれるのだぞ。そして世界に竜を切れる剣は」
「剣では駄目なのだ」
怒鳴りながら、王子の目から悔恨の涙が溢れた。
「私たちは、彼を連れ戻しに来たのだ。愛する者の待つ地上へと」