~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
「出向いてやるぞ、どこへでも。マグヌス、おまえの弟を取り戻すためならば」


 だが、飛び降りるのはクリスチーネの方がより早かった。空を飛べる者の強みだ。

 それに比べ、王子はぐずぐずとして、ついに眼をつぶったまま飛び降りた。

 何事か、叫びながら。

 遠くなる声を聞きながら、念のため、アレキサンドラは尋ねることにした。


「なぜ、彼は天国へ入れなかったの? 怪物だから?」


『言ったはず。徳を重ねてここへ来て欲しい。それだけだ』


 そうなの、と首を振って、彼女は、


「それじゃあ、彼になんの望みもないわけではないのね。ありがとう、教えて下すって」
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