~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
兄が弟の帰還をよろこび、抱きしめたが、弟はふりはらった。
『見るな、触るな。俺は地獄には歓迎されても、天国からは蹴り出されたのだ。薄汚い俺をみるな!』
「汚くなんてないよ! 泉があなたの罪を、全て洗い流してくれる。そうでしょう?」
アレキサンドラの声にマグヌムは喉で笑った。
その顔は哀しそうだった。
『ならば、この泉に身を浸し、この俺も冥府への門を守ろうか……』
「ああ、好きにしろ」
『ふっ、こういう時だけ物わかりのいいフリをする』
「おまえにはだいぶ鍛えられた。感謝している」
『負けたのか、俺はこんな若造に』