~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
第二十二章 雨がやんだら
『王よ』
最大の礼を払い、マグヌスは懇願していた。
「ついていてやりたいのだな、弟に」
『はい。このまま眼を放すと、何をしでかすかわかりません』
王は豪放磊落に笑った。
「実は、あやつは、なにも、おまえに頼らずともやってゆける。それでもゆくというのか」
『私が傷つけてしまった弟です。今側にいなかったら、一生恨まれましょう』
王はさりげなく紅玉の座を立った。
すごい血の色だが王が座ると威厳たっぷり。
そして真紅は王妃を表す色彩なのだという。
『少し、長くなりそうなので、しばらく席を空けたいのですが、よろしいですか』