~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
「ああ、父が退任した際は特に頼む。今の、この俺では……な。まあ、いろいろと都合が悪いのだ。だが仕事はどこでもできる。広場でライラを奏でているさ。なにせ、彼女の言うことには、私の唄はちびっ子に人気らしいから」
『左様でございましたか。その唄、マグヌスめにも聞かせていただきたいものです』
「ほんとうか? 眠るなよ、先は長いからな」
で、マグヌスは本当に眠ってしまった。眠るな、などといって王子は子守歌を歌ってやったのだ。
マグヌスは慎重に部屋のソファに横たえられた。
『疲れておったのだな』
「あたりまえです。地獄でのやりとりは全力でしたからね」
「やれ、もう、次の後継者は決まってしもうたわい。サフィール、将来、マグヌスが帰還したら、必ず彼を共同執政官に任ずるのだ」