~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
あとは涙の別れだった。
だっ、と駆けだして自ら羽根を出した小さな妖精の格好で、クリスチーネは二人を追いかけた。
『こおらあー! おまえ達、俺の案内抜きでどこいくつもりだあー! まだ、借りは返してねーぞ!』
と、勝手なことをいいながら、どこか生き生きとした後ろ姿を、竜神は見るともなしに眺めていた。
「リリー・アンか。おまえがここまでの力を発揮するとは……そうか、あの乙女。泣き虫そうだったの。男の格好をしていて、それでいて優しげな処もあったのだろう。リリー・アン、いや、クリスチーネ。おまえはおまえの、望む場所へゆくがいい」