~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>


 アレキサンドラと王子はいつの間にか魔道に迷っていた。

 クリスチーネのいない今、二人を正道へと導く者はなかった。


「待って下さい王子。何か出てきました。霧、のようなものが」


「ああ、ここは……」


「見覚えがございます。確か、王子も」


「城下の街ではないか……いや、でもこの荒れようはどうしたということだろう」


 つまびらかにはその様子は見えない。霧の作用だ。
 
 だが、誰もいない噴水に水音が。

 それに子ども達の走り回るような早口の声と、足音がした。

 女の嬌声がした。なまめかしい歌声も。
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