~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>


「どんな、唄を……?」


「王子!」


 アレキサンドラは、これは罠だと言いたかったが、王子は受け入れてしまった。

 一見、そう見えた。


「叶わなかった、恋の唄を」


 はっとしたのはアレキサンドラだ。女性の面には無表情の冷たい光があるばかり。それは、涙……


(ひょっとして、この女性も悲しみと苦しみを負って? でも魔性の者に気は許せない)


 と、アレキサンドラはますます身構えた。そしてその涙の意味を考えた。

 王子に伝えたいことがあるのではないか?
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