~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
すがりつきたくなるほど。
「違う……あれは欺瞞の炎。他者を犠牲にして得る光など、あり得ない。あれはまがい物よ! 王子わたくしは地下へ」
「どのみち階段はここ止まりだ。行くならこっちしかないもんな」
王子はなんのてらいもなく彼女の手をとり、降りてゆく。
「地獄の底から見える星はきれいだろう。ことさら美しいだろう。それでなくとも私たちはあきらめるわけには行かないのだから、世話はない」
王子は確かに輝く天上の光を見ていった。
「あの星を一緒につかむんだ、リック!」
ためらわずおりてゆく。そして理解した。