~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>


「ここは地獄だ。こんなものだと思っていたさ」


 負けるものかと剣を振った。くじかれてなるものかと希望を捨てなかった。

 だけど意地で通れるほど甘くはなかった。

 血まみれになって戦い、傷ついても魂だけは穢されない彼女に、クリスチーネが『しっかたねーな!』と頭をかいた。

 蜂の子サイズで適当にやり過ごしていた彼女が、アレキサンドラの耳元でささやく。


『自分にとって一番つらい選択を』


「自分にとって、一番?」


 それは逃げること? 王子をおいて? 


「そんなこと、できない」
< 5 / 178 >

この作品をシェア

pagetop