~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
たとえ、逃げろと言われようが、助けを乞われようが、剣を握ったに違いないのだ。
彼女は。
そういう質だ。
だれにも理解されなかった過去の痛みが今の彼女を造り出しているのだ。
彼女はその胸の痛みと闘いながら生きてきた。
たった今見てきた修羅地獄と、なんら変わりがない。
その意味で、ベルは間違いなく彼女の「進むべき道」を顕していた。その上で、彼女の屈託を払拭してくれたのだ。
「そんなことより、ボクの名を呼びましたね? 命を、今は魂だけだけど、一瞬でもあきらめましたね? 生きることを」
「赦せ、足手まといになるくらいならばと、思って……」