~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
「そう、申し上げております。地獄の覇者よ」
主は満足いったようだ。その姿にマグヌムは焦りを覚え始めたようす。しっぽが激しく動き回って震えている。
『蕩蛇(とうだ)の剣があったはずだな?』
「主よ!」
もはや完全にマグヌムはうろたえている。
主は語る。
禍(か)蛇(だ)の剣の蕩蛇(とうだ)の剣。濃緑の刀身、そしてのろわしい赤紫の刀身。比べてみると明らかにまがまがしさがにじんで見える。
『二振りの剣は対になってこそ真の力を発揮する』