~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>

 大岩に滝が作ってある庭園だが、そこには水妖が棲んでいた。まだ子供だった。

それが、噴水の中で暮らしているらしい。

遊んでいるだけかも知れないが、しきりになにかを指さしている。


「はあはあ、あんな化け物じみた恐怖の権化を観るのは初めてよ」


 アレキサンドラは王子より先に石庭に膝をついた。


『だーから、俺の言うことを聞けってばあ』


 クリスチーネ、急に現れた。かと思うと若々しい女性の姿に。


『へへっ、この格好だと地獄の門番がよくしてくれるんだよ。コイン玉一枚で』


「あんまり感心せんな。色を売るのは娼婦ときく」


 クリスチーネは頬をふくらませ、


『なんだよ、なんだよ! せっかく心配して来てやったのにさあ、こちとら忙しかったんだぜー? 命の危機よ、やりとりよ』


「お疲れ。しかし変わったオブジェだなー」
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