~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
「あなたごとき、どうとでもなるんですよ。それに足手まといはお互い様だ。もしボクがいなかったら、あなたが捕らわれることもなかった」
「ああ、あのでっかい角でぐっさり刺されておしまいだったな」
「だから、二人、離れてはいけないのです。だから、お互いこの手を離さずにいましょう」
地獄にあってつかんだ苦い絶望。
しかし乗り越えた今は、彼女にとっては福音、のようなものだった。
王子は死を覚悟した瞬間、彼女の名を呼んだのだ。彼女だけを想って。
「そんな、すぐにあきらめずとも。ボクはボクです。自分の意志でおそばにいるのですよ」
彼女の微笑みは強かった。