~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
クリスチーネは頭を抱えた。こめかみにぎゅっと拳を当てて、泣きそうになるのを防ぐためか、ぎりぎりと自分で自分を痛めつけている。
『あーあーせっかく俺が、あのお方にばれないようにしまっておいたのに』
「だから、なんだと聞いている」
「オーブだよ。竜神様の不思議はここからくるんだ。竜珠ともいって、竜神様の力がほころびたり、行き過ぎた暴力に対応すべく持ち歩いていらっしゃるのだが、今回は人界での疲労がひどい。無茶をされないようにこっそり隠しておいたんだ」
「ドラゴンオーブを手放したりして、逆にあの方は平気なのか?」
「これがあるとまた戦場へ行ってしまわれるだろう。召還者が、また無茶を言うらしいのでな。これがあると竜神様が不利になるんだ」