大好きな空
入学式から1週間、
高校にも慣れ始めようとしていた
そんな午後の、始めの授業
ノートに字を書き取り間違えて
消しゴムを使おうとした時
手が当たり
消しゴムを落としてしまった
その消しゴムは前へ、
上谷くんの席へと転がってしまった
前後の席ということで
毎日顔は見合っているが
言葉を交わしたことはまだ無かった
どうしたものかと1人
悶々としていると
コトリと小さな物音がした
急いで顔を上げ、机を見ると
消しゴムが置いてあり、
上谷くんが
前に向き直るところだった
「あ……」