大好きな空



 入学式から1週間、
 高校にも慣れ始めようとしていた


 そんな午後の、始めの授業


 ノートに字を書き取り間違えて
 消しゴムを使おうとした時

 手が当たり
 消しゴムを落としてしまった

 その消しゴムは前へ、
 上谷くんの席へと転がってしまった


 前後の席ということで
 毎日顔は見合っているが
 言葉を交わしたことはまだ無かった


 どうしたものかと1人
 悶々としていると

 コトリと小さな物音がした

 急いで顔を上げ、机を見ると
 消しゴムが置いてあり、
 上谷くんが
 前に向き直るところだった


 「あ……」


< 21 / 28 >

この作品をシェア

pagetop