ブロンドの猫
外に出ると陽菜の姿は
夜のネオンに消えていて、
変わりに強い雨が降っていた。
「傘なんて持ってねえぞ、」
空を見上げれば
夜空に浮かぶ怪しげな黒い雲。
ゴロゴロゴロ……
雷の音。
「酷くなる前に帰んなきゃな」
着ていたパーカーのフードを被り、
人通りも少ない道を足早に歩きだした時。
「……ん?」
道の端っこに、
肩を出した赤いワンピースに身を包み
この強い雨の中ビショ濡れになっている
見覚えのある女が。
近づいてみると
その女もこちらを向いた。
あの女だ………。