Little Princess
4
…そんなことも、あったっけ。
ふと思い出した遠い過去を瞼に映し出しながら、私はクスリと笑みを漏らす。
男子の一言を忘れ、慎治の一言に感動した私は、この時から慎治のことを好きだったのかもしれない。
私は無意識のうちにシロツメグサを摘み取り、結婚の“け”の文字でさえ分かっていなかった慎治の小さなプロポーズを思い出していた
…結婚。
できるものなら、したかった。
慎治と一緒に高校を卒業して、大人になって。
些細なことでケンカして、また仲直りして。
――願わくば、慎治と一緒に人生を歩みたかったんだ。