Little Princess
6
『やっぱし、いた…。』
なんとなく予想はついていた。
この野原は美奈と毎年来ている、思い出深い場所。
どこか一点を見つめボーっとしている美奈に、俺はためらいなく歩み寄っていった。
『美奈…っ!?』
…やっぱり、あの時なにか声をかけてやればよかったんだ。
美奈は強いようで、すっごい弱い。
それは俺が一番わかっていたのに…
何をやっているんだろう。
「…慎治!?」
俺の存在に気づいた美奈は、慌てて腰をあげ、逃げるように一歩、二歩と後ろに下がる。
このまま美奈は消えてしまうのではないか、
そう思った俺は、閉じ込めるように美奈を抱きしめた。