Little Princess
これで、最後なんだ。
そう思うと、彼の背中を目に焼き付けたいと思う。
真っ白のカーディガンに染み付いた彼の香りが、私の胸をチクンと痛ませた。
『……。』
学校帰りに彼と歩いてきた道を、一歩一歩踏みしめるように後戻りする。
最初から、家に帰るつもりなんかなかった。
別に学校に戻ったりするつもりはなかったけど、それもいいかもしれない。
今は、彼との思い出に浸っていたい。
彼との思い出の場所を、巡ってみたかった。