Little Princess
瞼の裏には、幼い俺と美奈。
“ねぇ、美奈ちゃん”
“なぁに??”
当時の俺はまだ純粋で、美奈のことを“美奈ちゃん”と呼んでいた。
くるん、と振り向いた美奈の大きな目が印象的だったのを、俺は今でも覚えてる。
“大人になったら、僕と結婚してくれる??”
…今考えると、すげぇ恥ずかしい。
無邪気な子供だからこそ、できたこと。
“もちろん”
…なぁ、美奈。
俺は美奈がそう言ってくれて、飛び上がるほど嬉しかったんだ。
『…美奈。好き。』
驚くほど自然に出た言葉。
美奈は一瞬驚いたように目を見開き、やがて目を細めて微笑む。