Little Princess
母さんの視線は、俺が腰掛けている場所のすぐ横。
俺もそれを辿るように、視線を斜め下に移す。
『あ…。』
そして、俺も母さんと同じように呟いてしまった。
『冠…。』
美奈のシャンプーの香りが、フワリと蘇ったような気がした。
確かに感じたあの温もりが、俺の心をあったかくさせる。
――やっぱり、あれは夢じゃなかったんだ。
俺の斜め下には、確かにシロツメグサの冠があった。
『……。』
ゆっくりと手を伸ばし、シロツメグサの冠を拾いあげる。