勿忘草



それにもしかしたら気付いてしまったのかも知れない。


総護君女の子の名前を呼ぶのを聴いて、



悲しくなっただなんて




寂しくなっただなんて





苦しくなってしまっただなんて。







それで不快に思ったのかもしれない。



そんな事を悶悶(モンモン)考えながら私は彼に引っ張られていく。




そして不意に総護君が止まった。


「っ!」




考え事をしていた私は、
彼の背中にぶつかりそうになりつつも、

なんとか身体に力をいれ留めた。







辺りを見回すと、
数個のカラフルなパラソルがある場所で止まった。



食べ物を食べたりする所なのだろうか。



パラソルの下にあるテーブルで買った物を食べているお客さん。




そんな辺りをぼーっと見渡す。




すると彼はいきなりこちらに振り返ってきた。





ピシッと身体を強張らせる私の両肩を掴んで、
直ぐそこにあったパラソル付の椅子にストンと座らせた。






< 115 / 136 >

この作品をシェア

pagetop