勿忘草
それにもしかしたら気付いてしまったのかも知れない。
総護君女の子の名前を呼ぶのを聴いて、
悲しくなっただなんて
寂しくなっただなんて
苦しくなってしまっただなんて。
それで不快に思ったのかもしれない。
そんな事を悶悶(モンモン)考えながら私は彼に引っ張られていく。
そして不意に総護君が止まった。
「っ!」
考え事をしていた私は、
彼の背中にぶつかりそうになりつつも、
なんとか身体に力をいれ留めた。
辺りを見回すと、
数個のカラフルなパラソルがある場所で止まった。
食べ物を食べたりする所なのだろうか。
パラソルの下にあるテーブルで買った物を食べているお客さん。
そんな辺りをぼーっと見渡す。
すると彼はいきなりこちらに振り返ってきた。
ピシッと身体を強張らせる私の両肩を掴んで、
直ぐそこにあったパラソル付の椅子にストンと座らせた。