勿忘草
「私が面倒ばかりかけるから…怒ったんじゃないの?」
私は驚きながらも彼にそう尋ねた。
すると…
ブッシュア!
それを聞いた彼は、飲んでいた飲み物を勢い良く吹き出してしまった。
「ッゴホッ!!ゴホ…ッはぁ?」
彼は苦しそうに咳き込みながらも、驚いた様に私を見る。
「んなわけねぇだろ!なんでそんな事で怒るんだよ」
まったく…と彼は呆れながら吹き出した飲み物をテーブルに置いてあった布巾で拭いている。
そんな事?
彼にとっては、
学校を休んでわざわざ病院に連れてくることも、
水族館に連れてきてくれたりすることも、
それでまた具合が悪くなることも…
他の人にとってはそれはきっととても面倒で迷惑で、
しかも相手が見ず知らずの他人だったら、
やろうとも思わないことなのに…。
彼にとって、それは"そんな事"。
総護君の中でそれは、
たいした事ではないと言うこと。
私は思わず茫然としてしまった。
私が思うより、ずっと総護君は優しかった。
優しすぎて…
なんだか少しだけ、
胸が痛くなった。