勿忘草
「ちょっ…総護君!」
私はそんな総護君と男性の間に入って、総護君を止める。
そうしないととなんだか総護君が男性に殴りかかりそうだったから。
何故だかわからないけれど、彼はきっと勘違いしてる。
「シオン…」
「違うの!!この人は悪い人じゃなくて…」
わたわたと話す私に彼は少し驚いた様に目を向ける。
きっと私が男性を庇ってくるとは思っていなかったんだろう。
彼はあの男性を悪い人だと勘違いしてるのだから。
「凄く困ってるみたいで…。私みたいな人連れていくって先輩に言っちゃったんだって。」
「シオンみたいな人?」
総護君はぴくりと眉を寄せる。
「うん。それで総護君の事カワイイ?って聞かれたから、話したら、綺麗系の総護君にも来てほしいって。いてくれればいいからって…」
「そうでしたよね?」
私は同意を求めて振り向き、後ろにいる男性に確認するように聞いた。
「…っ…」
けれど男性は何も言わず、地面に座った状態のまま、只青い顔をして私を見ている。
「?」
訳が分からず、首を傾げて男性を見つめる。
けれど男性は私の事を見ている筈なのに何故か目が合わない。
恐ろしそうに瞳を大きく見開いて揺らしている。
「ふーん。綺麗系ねぇ」