勿忘草






私、どうして泣いているの?




ありがとうって



感謝の気持ちを伝えただけなのに。



どうして涙がでるの?



止めたくても止まらない。



この涙は一体何?






悲しいような


嬉しいような




良く分からない気持ち







それはとても切ないものだった。





自分でもどうしてこんな気持ちになるのか分からなかった。




それになんだろう…




ありがとうって



思った時。






身覚えのない想いが、見えた気がした。





けどこの気持ちも、

その想いも、





考えても分からない。


分かりそうなのに、わからなくて、
それがとてももどかしかった。






突然、ふわりと頭に心地よい重みがのる。



驚いて顔を上げると、そこには目を細めて優しく笑う総護君がいた。








  「どういたしまして」








彼が私の涙を見て、どう思ったかは分からない。




けれど彼は、そう言って笑ってくれた。




瞬間、何かが晴れた気がした。





何故か涙は嘘のように止まる。








心配なんてしてほしくない。




慰めなんていらない。














私が欲しかったのは、きっとその言葉。




その笑顔。













そっか…





私はそれを待っていたんだー…






気がつけば、私は笑っていた。




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