勿忘草

住宅街に入り、オレンジ色の電灯が道を明るく照らす。



その光が更に俺の頭を朦朧とさせた。



そのままぼぅっとしながら帰り道を歩いていく。






‐--ザワザワザワ






風に木の葉が大きく揺れている。



そして気づいた頃には俺は小さな公園の前にいた。





「こ…ここって」






俺はこの場所を見て愕然とする。


公園の名前は【あおぞら公園】




その公園は結構広めだが遊具が古く、所々錆び付いていた。



昔よくここで遊んだ。


子供の頃よりも少し小さくなったように感じる。




地形的にこの辺りの住宅は山を削って建てたものだ。

だからこの住宅街の端にあるこの公園の隣は、
木が生い茂っている。





「なんで俺…ここに…」



家に帰るつもりがどうやらボーっとしていたらしい。



頭の中で色んな事を考えていたらこんな所まで来てしまった。




家は少し前に通り過ぎた。



再び溜め息をつく。

こんな所来たくなんてなかったのに。


今日は散々な日だな。




心の中でそんな悪態をつきながら、
家に帰ろうと公園に背を向け、元来た道に戻ろうとする。





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