勿忘草
私はしばらく草の上に座り込んでいた。
俯いていた顔をあげ、空を見上げる。
風が強いせいで、再び月が雲に隠れてしまった空には、
沢山の星達が夜空に瞬いていた。
でも私にはそれがぼやけて見える…
鼻の奥がツーンと痛むと同時にじわりと涙が浮かんだ。
それはとても美しい景色な筈なのに。
暗闇の中で輝く小さな星達が、頼りなくて…
とってもちっぽけに思えて。
小さな星ひとつじゃ、誰にも気づいてもらえない。
そんなんじゃこの空は照らせない。
星達はひとりじゃないけれど、
今の私はひとりぼっちだ。
この暗闇の中で自分が一人ぼっちなのだと、
改めて実感させられたみたいでとても悲しくなった。
キラキラと輝くその星達が羨ましくて。
これ以上見てられなくて、思わず目を閉じ、俯いた。
「…っ…」
瞳から温かい涙が頬を伝ってゆく。
ふわりと風で舞い上がる花達。
小さな白い花びらが、香りと共に私を優しく包む。
まるでそれが慰めてくれているように思えて。
私は力なく笑った。
「ありがとう。」
小さな声でそう呟けばぶわりと再び強い風が吹き荒れた。