勿忘草
そしてその場を離れる。
彼女の返事を待たないまま。
スタスタと歩き始めたとき、
微かに後ろから声が聞こえた。
「……らいいね」
それはシオンの声。
その声がよく聞こえず、振り返ってみる。
すると彼女は、頭痛がするのか、片手で頭を押さえている。
なんだか様子がおかしい。
「おい…大丈夫か?」
再び彼女の元へ歩み寄る。
シオンは俺と目を合わせると、切ないくらい悲しい顔をしてこういった。
「…わっ…私達…ずっと一緒にいれたらいいね…?」
その顔は悲しくも酷く困惑している様子だ。
「ー!!」
その…
その言葉…!!
俺は驚愕した。
「シオン…お前…」
そう言って俺は少し歩く速度を上げる。
するとシオンの体がぐらりと揺れた。
「ーっ!!」
俺はそれを見て一気に走り出し、地面に倒れ込む前にシオンを受け止めた。
「大丈夫か!?…おい!!」
大声で呼び掛けると彼女は強く俺の服の裾を掴んだ。
けれど目は閉じたままだ。
顔色は悪く、額には汗。
息は荒く、酷く苦しそうだ。