勿忘草





ガチャ


そんな時、部屋のドアが開いた。


「ー総護君…」




「お…目ぇ覚めたか」


制服ではなく、私服を着た総護君がそこにいた。



「ここって…」



「俺ん家。お前昨日倒れたから家に運んだんだよ」



「えっ!?」


倒れた!?




やっぱりあの時倒れちゃったんだ。


「腹減ったろ?ちょっと待ってろ」


そう言ってまた部屋を出る。



しばらくすると再びドアからお盆を持った彼が出てきた。


そしてベットのすぐそばにあるテーブルの上にお盆を置く。


お盆の上には一人用の小さな土鍋とレンゲがのっていた。



その上にタオル乗せ、熱々の蓋をそっと開いた。


するとフワッと白い湯気が広がる。



「わぁ…」




「これ、空木…知り合いが作ってくれたから食え」




中にはとても美味しそうな卵粥(たまごがゆ)が入っていた。







その卵粥をぼぅと見ている私を見て、彼は意地悪に笑う。


「どうした?食わせて欲しいのか?」


その言葉にボッと赤くなる。



「ちがっ違うよ!!」




ブンブンと顔を勢い良く横に振る。

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