勿忘草
総護君ってあんな意地悪だった?!
そんな事を考えながら横に置いてあったお盆を膝の上にのせ、れんげでお粥そっと口に運ぶ。
「…美味しい」
さっきはそれどころじゃなくて全然味わえなかったけれど、
その卵粥はとても美味しい物だった。
これ、知り合いが作ったって言ってたけど…
それに部屋は好きにしていいって…
ここには家族はいないのかな?
美味しい卵粥を食べながら思う。
そういえばお礼。
まだ言ってなかったな。
総護君は意地悪だけど、とても優しい人。
ふと抱き締められた事を思い出し、更に赤くなる。
彼の腕の中…
凄く暖かかったな。
私みたいな得体の知れない女を助けて…
初めて会った時も、私が泣いていたから放っておけなかったんだろう。
わざわざ交番まで届けてもらったのに、
私は倒れてこうしてまた彼に、迷惑をかけてしまった。
彼が帰ってきたら…
ちゃんとお礼言わなきゃ。
ボーっとそんな事を考える。