勿忘草
私は何だか恐くて顔を上げられなかった。
きっと彼は凄く怒った顔をしている。
そんな気がして…。
「俺だってボランティアじゃねぇんだよ。だからお前には…」
私はぎゅっと、堅く目を閉じた。
何を言われても仕方ない。
総護君には本当にお世話になったんだから。
私は体中に力を入れた。
「お前の家族が見つかるまでこの家の炊事、洗濯、掃除をやってもらう」
…え?
私は思わず顔を上げる。
「今なんて…」
すると彼はにっこり笑って再び言った。
「あ?聞こえなかったか?お前には家事全般をやってもらう。家族が見つかるまでな。」
「…う…そ…」
私は驚いた。
「それって…私がここにいても良いって事?」
私がそう問うと、彼は再びハンバーグ弁当を口にしながら話す。
「まぁ、家事をしてもらうことになるけどな。あぁー助かったぜ。流石に弁当も、外食も飽きてきてたんだよなぁ」
彼はそう言うと食べ終わったのか、
空のお弁当をゴミ箱へ捨て、冷蔵庫を見ている。