勿忘草
いきなり泣き出した私に彼は驚いていたけれど、
その後少し困ったように笑って、私の頭をそっと撫でてくれた。
「泣くな。ほら、お前の分のアイスもあるから」
そんな事をいう彼が可笑しくて、けれど嬉しくて。
私は涙を流しながらも笑った。
食事も終えて、私達は眠りにつくことにした。
彼が貸してくれたパジャマはとてもブカブカだったけど、
他に着るものが無いため、それをかしてもらった。
「じゃあ、おやすみ」
そう言って寝室から出て行こうとする彼に私はハッとして聞いた。
「総護君一人暮らしって言ってたよね?」
「あぁ」
それならベッドは一つしかないじゃない。
「あなたの家なんだから総護君がこのベッドに寝て?」
昨日も私はこのベッドで寝てしまった。
ここは総護君の家なのに。
居候の私が総護君のベッドを使うわけにはいかない。
「いいって」
「なら総護君はどこで寝るの?」
「あのソファ、ベッド型に変形するから。だから全然問題ねぇよ」
そういう彼に私は食い下がる。
「それなら私がそこで眠るから。総護君がベッド使って」