勿忘草
すると彼は溜め息を吐きながら私に言う。


「いいからお前はここで寝ろ。」




「……」


私が納得がいかない顔をしていると、彼は意地悪に笑う。


「それともこのベッドに一緒に寝るか?」



「えぇ!!」


私が驚き、顔を赤く染めると


「おっ。今変な事考えただろ」



「ちっ…違います!」


思わず敬語でそう告げると、彼は楽しそうに笑い出す。



私が少しむくれると彼は笑いを止めて私に言った。

「俺、眠り浅いから良く起きちまうんだよ。それでしょっちゅう水飲みに行くから、これで良いんだよ。」



確かにそれならリビングで寝ようとするのも頷ける。



私がソファで寝ていたら行きずらいだろうし、その方が水を飲みに行くときは楽だ。




「…そう…なの」


渋々納得した私に彼は満足げに微笑むと、
再び私の頭に手をのせて言った。

「よし。じゃあ、おやすみ」


「うん、おやすみなさい」



そして私の頭から手を離し、彼は部屋から出て行った。




なんだか上手く丸め込まれたような気がしながらも、
私はベッドに入る。







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