勿忘草


彼が撫でた頭にまだ手の温もりが残っているような気がして、ふと触れてみた。



何だか総護君に頭を撫でられると不思議な気持ちになる。





とても心地よくて安らげるのに、
それと同時に切ない気持ちが押し寄せてくる。



何故だろう?


昨日出会ったばかりなのに、たまにとても懐かしく思える。





彼と会ったのは初めてじゃない気がして…。







そう言えば昨日私によく似た知り合いがいるっていってたな。


確か名前も同じ子。


総護君は絶対私じゃないって言ってたけれど、
本当に私じゃないのかな?




彼にもう一度聞いてみたいけど聞きづらかった。


その子の話をした時、総護君の様子が少しおかしかったから。





思い出したくないような…


忘れたがっているように思えた。



その子と何かあったのかな?




そう思うと胸にチクリと小さな痛みを感じた気がした。






何だかもっと考えていたいのに、瞼が重くなってきた。


頭もうまく働かなくて…



全身に眠気が襲ってくる。




眠い…



僅かながら抵抗したものの、結局眠気には勝てず

私はいつの間にか、眠りについてしまった。





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