勿忘草
ヒヤッ
いきなり額に感じる冷たさに、少年の体がビクリと反応する。
少女は缶ジュースを彼の額に当てていた。
「驚いた?けど冷たくて気持ちいいでしょ?」
そう言って少女が笑うと、少年も笑った。
「あぁ、気持ち良い。ありがとな」
そういって彼は少女の頭をぽんと撫でると気持ち良さそうに目を瞑った。
「…お前らが暑い」
その様子を見て、本を読んでいた少年はあきれた様子で言った。
「え!!」
すると少女は真っ赤になりながらパッと缶ジュースから手を離すと少年のおでこにゴツンと当たった。
「いってぇ!!」
寝っ転がっていた少年は、勢いよく起き上がる。
「わっごめん!!」
急いで謝る少女に、後ろで本を閉じ噴き出す少年。
その姿にイラッときたのか、彼は落ちた缶ジュースを拾って振り出す。
そしてそれを少年の前で開けた。
ブァシャア!!
「うわっ!!」
中の炭酸が勢いよく少年にかかる。
「バーカ」
「てめぇ…」
炭酸に滴らせながら彼は少年に飛びかかる。
「うおっ!」
それをかわして逃げる少年。
逃がすか!と追いかける少年。
「ふふっ。あはははっ」
それを見て笑う少女。
楽しそうにはしゃぐ三人。
暑いにも関わらず、大声で。
けれど徐々に声が離れてゆく。